前衛的すぎて、僕の黒歴史になった演劇デビュー。

高校生の時ワークショップで始めて高校演劇部に参加しました。高校二年生の時です。もともと演劇にはかなり興味があり、唐十郎とか「尖ってる」感じのする作風やどちらかというと観客をケムリに巻くような演劇がしたいと思ってお遊び感覚でやっている女子をハイブローな知識でとめどなく押し倒して、自分の理想とする前衛的な方向を目指す作風にするため脚本を担当し、舞台装置も担当して、約一ヶ月の期間、自分の全精力をそそぎ込みました。それはもういま思い出しても反吐が出るぐらい恥ずかしい思い出です。

自分はとにかく「前衛」という言葉だけの字面を勘違いして「よくわかんないものが尖ってるしかっこいい」みたいなノリというか誤った解釈で、ただただ凡庸でつまらない。あまりに笑止に耐えない劇団デビューになってしまいました。まず、ストーリーなんて、ダサいと思っていた僕は前衛的なものをめざすため、ほとんど筋らしい筋がない内容にしました。たったひとつの空間に、5,6人の劇団員があつまり、シャドーボクシングを始める。えんえんとシャドーボクシングをやりつづけます。そしてボクシングの果てに、お互いにクリンチを掛け合い、「天皇陛下万歳」と言いながら、殴り合います。そして30分それを続けたあと、イエスキリストのコスプレをしたキャストがあらわれて「左の頬を叩かれたなら右の頬を差し出しなさい」と麗らかに言い放ち、その場は感動的なムードに包まれます。誰もが殴り合うことをやめ、お互いを抱き合い、励まし、ときに涙し、自分たちがいかにおろかで無意味なことをやっていたんだろうと悟り、そして仲良く手をつなぎ、ジローズの「戦争を知らない子供たち」を歌い始めます。やがて歌い終わったのちに、どこからともなく核兵器が落とされ場面は暗転し幕が終わります。これが大まかなすじたてでした。

脚本をかいたときは、その手応えの良さに身震いしましたが、実際の本番でいよいよそれを再現してみたところ、凍るような沈黙と、失笑の渦に飲み込まれ、完全な黒歴史となりました。演劇は、もう二度とやりたくありません。